センター長からのメッセージ
   
 情報基盤はリーディングユニヴァーシティの研究・教育推進に欠かせない力の源泉です。世界の一歩先をリードする先導的な情報基盤が備わっていてこそ、国際競争力ある研究や魅力溢れる教育の展開が可能となります。

 北海道大学情報基盤センターは、平成22年度にネットワーク型共同利用・共同研究拠点である学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)として認定されました。本センターはJHPCNの構成拠点の一つとして、最高水準のスーパーコンピュータと超高速ネットワークを駆使した学際的なグランドチャレンジ研究を推進しています。これにより計算科学と計算機科学の"クロスカップリング"による新しい知の創成を目指します。さらに、次世代スーパーコンピュータ「京」を頂点とする革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の形成にも資源提供機関として参画し、我が国の学術情報基盤の発展に貢献しています。

 また、本学の情報環境整備においては、情報環境推進本部と密接に連携し、全体最適並びに持続可能性の観点から、本学中期目標・中期計画を具現化するアクションプランに基づいた情報環境整備を効率的に推進しています。安全・安心なキャンパスネットワークと先進の教育情報システムに加え、平成23年11月より学際大規模計算機システムを導入し、最新鋭のスーパーコンピュータと国内最大級のアカデミッククラウドの新サービスを、全国に先駆けて提供しています。本センターは我が国のアカデミッククラウドの先進研究と技術実証の最前線であり、未来のインタークラウドシステムの実用に向けたトランスジャパンの連携・共同研究を主導的に推進しています。これは本センターを特徴づける最も大きな強みの一つです。

 北海道大学情報基盤センターは平成25年4月に創立10周年をむかえました。今後とも、本センターは、リーディングユニヴァーシティに相応しいスマート・アンド・グリーンな大学情報基盤を実現するために、全力を尽くしてまいります。どうぞご期待ください。

 

北海道大学情報基盤センター創立10周年記念式典 式辞

本日は、年末のご多忙のなか、北海道大学情報基盤センター創立10周年記念式典に、本学山口総長はじめ、文部科学省研究振興局様、東京大学情報基盤センターならびにネットワーク構成拠点様より、多数のご列席を頂きまして、誠にありがとうございます。

北海道大学情報基盤センターは、国立大学の法人化が目前にせまった平成15年4月に、全国共同利用大型計算機センターと学内共同利用情報メディア教育研究総合センターの廃止・転換によって、4研究部門からなる全国共同利用施設として設置され、この平成25年で創立10周年を迎えることができました。これもひとえに、文部科学省様はじめ、本学内外の関係者の皆様、そして本センターを全国からご利用頂いているコミュニティの皆様方からのご支援・ご指導の賜物と、深く感謝しております。

本センターは、教育研究の高度化に資する大規模情報基盤の整備・運用ならびに研究開発を推進することを目的に、全国共同利用と学内共同利用の2つの側面を調和させ、本学の中期目標・中期計画に基づき、これまで着実に成果を上げてまいりました。

最近の主なアクティビティを振り返りますと、まず、オールジャパンの視点においては、平成22年度にネットワーク型拠点である「学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点」として本センターが文部科学大臣から認定されたことは大きな節目となりました。本センターはネットワーク拠点の構成機関として、最高水準のスーパーコンピュータと超高速ネットワークを駆使した学際的共同研究を推進し、計算科学と計算機科学の融合による新しい知の創成とコミュニティの人材育成に寄与しております。

さらに、スーパーコンピュータ「京」を頂点とする「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラHPCI」の構築・運用にも当初より資源提供機関として参画し、我が国の計算科学技術基盤の発展に貢献しています。

一方、本学の情報環境高度化においては、平成19年度に設置されました「情報環境推進本部」と密接に連携し、情報システムの全体最適と持続可能性の観点から、本学中期目標・中期計画を具現化するアクションプランに基づいた情報環境整備を推進していまいりました。

本学構成員2万5千人の日々の活動を支える安全・安心なキャンパスネットワークHINESと大学間学術認証連携システムの整備、全学生の学習支援環境を提供する教育情報システムELMSと国際的オープンエデュケーションの取り組みに加え、平成23年には学際大規模計算機システムを導入し、最新鋭のスーパーコンピュータと国内最大級の本格的アカデミッククラウドサービスを、全国に先駆けて提供しています。直近の利用率データをご紹介しますと、スーパーコンピュータは90%、クラウドシステムの仮想サーバは95%にも達しており、まさにフル稼働の状況にあります。

学際大規模計算機システムの開発・導入にあたっては、環境負荷低減にも配慮し、最新の外気冷却技術を取り入れた冷却設備をあわせて整備しました。一般に大規模データセンターにおける電力消費エネルギーの利用効率はPUEで評価されますが、本システムのPUE実測値は厳冬期の2月で1.15、真夏の8月でも1.3という優秀な値を示しています。学内の研究室に散在するサーバやPCクラスタの集約化による省エネルギーにも寄与し、サステナブルキャンパス実現に貢献しています。

クラウドサービス開始以来、恒例となった北大Cloud Weekシンポジウムには、全国から毎年200人以上の研究者やクラウド事業者が集まるほどの活況を呈しており、まさに本センターがアカデミッククラウドのメッカとして定着した感があります。本センターは我が国のクラウドコンピューティングの先進研究と技術実証の最前線であり、大学のミッション再定義の議論においても、未来のインタークラウドシステム実用に向けたトランスジャパンの連携・共同研究の推進は本センターの大きな強みであると認識されています。

このような本センターを特徴づけるアカデミックインタークラウドの先導的取り組みや、新しいオープンエデュケーションの動向につきましては、本日の記念講演会のなかであらためてご紹介させて頂きます。

情報基盤はリーディングユニヴァーシティの教育研究推進に欠かせない力の源泉です。世界の一歩先をいく先導的な情報基盤が備わっていてこそ、競争力ある研究や魅力溢れる教育の展開が可能となります。しかし、大学の情報基盤システムはキャンパスの幅広い教育研究活動を情報科学技術によって効率的に支援するだけではありません。新たな発見や創造を触発し、教育研究そのものの質を向上させ、その情報環境に抱かれる全ての人々の「解る力」、「閃く力」、「導く力=リーダシップ」を増幅するものでなければなりません。

このような活力あるキャンパス情報環境の実現をめざす情報基盤センターの将来像を思い描くとき、最も忘れてはならないことは、次の2点であると考えています。

その第一は、リスクを取ってでも、新しい技術の可能性に挑戦していく姿勢を堅持することです。大学とともにある情報基盤センターなのですから、失敗を恐れてはなりません。むしろ多少の失敗やトラブルもおこらないようでは、大学で取り組む意味がありません。

第二は、大規模なマシンやシステムが主役なのではなく、あくまで人が主役の情報環境であるということです。どんな最新技術もやがて枯れていきます。挑戦的な研究開発と運用の現場・フィールドを通して、リアルワールドの皮膚感覚を持った人材を育成できなければ、情報基盤センターの真の使命を果たしたことになりません。

情報基盤センターの教職員一同は、皆様のご期待に添うべく、リーディングユニヴァーシティに相応しい大学情報基盤の一層の発展に向け、引き続きベストを尽くし努力してまいりますことを、最後に改めて決意表明させていただき、また今後ともセンターの活動に皆様のご支援、ご厚情を賜りますようお願い申し上げて、私からの式辞とさせて頂きます。

本日は誠にありがとうございます。

平成25年11月12日

北海道大学情報基盤センター長
井 昌彰